2025年7月14日

H&Iグローバルリサーチ（株）

*****「データセンター冷却のグローバル市場予測：コンポーネント別（ソリューション、サービス）、タイプ別、封じ込め方式別、構造別、用途別、ソリューション別、サービス別、地域別（2025年～2030年）」産業調査レポートを販売開始 *****

H&Iグローバルリサーチ株式会社（本社：東京都中央区）は、この度、Grand View Research社が調査・発行した「データセンター冷却のグローバル市場予測：コンポーネント別（ソリューション、サービス）、タイプ別、封じ込め方式別、構造別、用途別、ソリューション別、サービス別、地域別（2025年～2030年）」市場調査レポートの販売を開始しました。データセンター冷却の世界市場規模、市場動向、市場予測、関連企業情報などが含まれています。

***** 調査レポートの概要 *****

2024年の世界のデータセンター冷却市場規模は144.1億米ドルに達しており、今後クラウドサービスの急拡大やエッジデータセンターの増加を背景に、2032年には400.8億米ドルにまで成長すると予測されています。これに伴い年平均成長率（CAGR）は約13.8％に達し、データセンターインフラ向け冷却ソリューションの需要が著しく高まる見込みです。

市場拡大の最も大きな要因は、グローバルに急増するデータセンター建設プロジェクトです。特にハイパースケールプロバイダーや企業向けコロケーションセンターが新設・拡張を続けており、AI／ビッグデータ解析の演算密度向上に対応する高効率冷却技術が不可欠となっています。クラウド大手のAWS、Microsoft Azure、Google Cloudをはじめ、地域プレイヤーのデジタルインフラ投資が冷却市場を牽引しています。

従来型の空冷システムに替わる技術として注目されるのが「自由空冷（フリークーリング）」です。外気温が20℃以下の環境では、冷凍機を停止して周囲の冷たい外気を直接利用することで運転コストを最大50％削減でき、環境負荷低減にも寄与します。ただし、外気品質の要件を満たす必要があるため、地域や設置条件によって適用可能性が制約されるケースも見受けられます。

空冷ソリューションは米国暖房冷凍空調学会（ASHRAE）の最新基準にも適合し、高い信頼性を確保しつつ運用温度範囲を引き上げることで、省エネと機器寿命延長を両立しています。ASHRAE標準に準拠した運転パラメーターの設定により、データセンター運営者は温度と湿度の最適化を図り、冷却塔や冷凍機への依存度を低減しつつ稼働率を向上させています。

一方、液体冷却技術の商用化も進展しています。特に高密度ラック環境やAIワークロード対応には、チップ直冷（ダイレクト・トゥ・チップ）や液浸冷却が有効であり、キャリア・グローバル・コーポレーションは子会社キャリア・ベンチャーズを通じて、ストラテジック・サーマル・ラボ（STL）との技術提携を発表しました。この取り組みにより、2028年までに液冷市場は30億～50億米ドルに達し、採用率も現状の2％から30％近くに拡大すると見込まれています。

市場ダイナミクスとしては、まずデータセンター展開の増加があります。Neon Cloudは2025年、インド・グルガオンに新設データセンターを開設し、VMやKubernetes、GPUアクセスを含むクラウドサービスを開始予定です。さらに、アクシオム・スペースは2025年末までに地球低軌道上にオービタルデータセンターノードを打ち上げる計画を発表し、宇宙ベースのクラウドコンピューティング需要にも対応を進めています。

高い初期投資コストは依然として液冷導入の大きなハードルです。特にインド市場では、液浸冷却やチップ直冷システム向けの専用配管、誘電体流体、熱交換器などが輸入部材であることから調達コストが増大し、中小事業者にはROI不透明感が強いと指摘されています。Yotta InfrastructureやAdaniConneXといった大手は資本投資を吸収できるものの、予算制約の厳しい事業者は段階的アップグレードを選好する傾向が高い状況です。

市場セグメンテーションでは、ソリューション別にCRAC／CRAHユニット、列内冷却装置、冷却塔などが挙げられます。用途別では金融（BFSI）セクターが高可用性要件から冷却ソリューションを最も多く採用しており、JPMorgan ChaseやICICI銀行、HDFC銀行などが液冷・UPS・冗長化投資を積極的に行っています。ヨーロッパではDeutsche BankやAXA、Allianzが耐障害性重視のハイブリッドデータセンター戦略を推進しており、SLA準拠の厳格運用が続いています。

地域別では、アジア太平洋（APAC）が最大の成長エリアです。中国、インド、日本、シンガポール、香港などでAI／フィンテック需要が急増し、BDxデータセンターは香港・葵涌でハイパースケール施設を資金調達のうえ開発中です。また、EdgeConneXは日本大阪・京都エリアで持続可能なAI対応センターを計画し、エクイニクスやデジタルリアルティはシンガポールで液冷・モジュラーUPS投資を拡充しています。

北米市場は成熟期にありつつも、外気温の低い地域でのフリークーリング需要や再生可能エネルギー連携型データセンターが増加。Microsoft Azureはスウェーデン北部での「プロジェクト Natick」の成果を活かし、面海底データセンター冷却技術を研究しています。欧州市場ではEUのグリーンデータセンター指令に基づき、CO₂排出削減技術とエネルギー再利用ソリューションの導入が進行中です。

中東・アフリカ（MEA）はまだ開発途上ですが、UAEやサウジアラビアの「スマートシティ」構想に紐づいたデータセンター建設計画が発表され、エッジデータセンター需要の高まりとともに冷却市場参入機会が拡大しています。ラテンアメリカではブラジル、メキシコを中心にコロケーションセンター需要が増加し、政府主導のデジタル変革プログラムが後押ししています。

競争環境は比較的集中しており、Schneider Electric SE、Vertiv Group、Rittal、Exxon Mobil、Green Revolution Cooling、Air Enterprises、Asetek、Climaveneta、Coolcentric、Mitsubishi Electric Corporationなどが主要プレーヤーとして市場をリードしています。彼らは製品性能向上、新規技術獲得、地域展開強化を狙ったM&A・提携を活発化させており、幅広いソリューションポートフォリオを通じた差別化を図っています。

価格動向としては、CRACユニットやCRAHユニットの初期導入コストと運用コスト、試薬消耗品費用が市場シェアに影響を与えています。液冷装置は高額投資となるものの、全体的なTCO（総所有コスト）削減効果を訴求ポイントとしており、サブスクリプション型の「冷却 as a Service」モデルも出現しつつあります。

本レポートの調査手法は、一次データ（データセンター運営者、技術ベンダー、業界専門家へのインタビュー）と二次データ（公的機関資料、業界レポート、学術論文）を組み合わせたボトムアップ・トップダウンアプローチを採用。SWOT分析、ポーターズファイブフォース分析、バリューチェーン分析により、複数の成長シナリオと参入戦略を提示しています。

以上の概要により、データセンター冷却市場の現状、成長ドライバー、技術トレンド、地域別展開、競争環境、価格構造、調査手法までを包括的に把握可能です。本レポートは、インフラ投資計画、製品開発、パートナー戦略などの意思決定に重要なインサイトを提供します。

***** 調査レポートの目次(一部抜粋) *****

  はじめに
1.1 レポートの背景と目的
1.1.1 データセンターインフラの進化
1.1.2 冷却技術の重要性と市場機会
1.1.3 本報告書のカバー範囲
1.2 調査手法とデータソース
1.2.1 一次データ収集（業界専門家インタビュー）
1.2.2 二次データ参照（公的機関、業界レポート、企業資料）
1.2.3 市場推計アプローチ（トップダウン／ボトムアップ）
1.2.4 定量分析と定性分析の統合
1.3 用語・略語解説

  エグゼクティブサマリー
2.1 グローバル市場規模および予測ハイライト
2.1.1 2024年実績値
2.1.2 2025–2032年予測（CAGR、地域別シェア）
2.2 主要ドライバーと抑制要因
2.2.1 クラウド＆ハイパースケール拡大
2.2.2 エッジデータセンターの台頭
2.2.3 初期投資コストと運用コストのバランス
2.3 技術トレンド概要
2.3.1 空冷 vs 液冷の潮流
2.3.2 自由空冷（フリークーリング）適用要件
2.4 地域別ハイライト
2.4.1 北米：成熟市場の最前線
2.4.2 欧州：グリーンデータセンター推進
2.4.3 アジア太平洋：高成長エリア
2.4.4 その他地域動向

  市場ダイナミクス
3.1 成長促進要因（Drivers）
3.1.1 AI／ビッグデータ需要の増大
3.1.2 高密度ラックの普及と熱負荷増加
3.1.3 持続可能性・環境規制の強化
3.2 抑制要因（Restraints）
3.2.1 液冷システム導入の初期コスト高
3.2.2 インフラ整備が遅れる新興地域
3.3 チャレンジとリスク
3.3.1 供給チェーンの不安定化
3.3.2 システム統合・運用ノウハウ不足
3.4 市場機会（Opportunities）
3.4.1 再生可能エネルギー連携冷却ソリューション
3.4.2 サブスクリプション型の冷却サービスモデル

  技術別セグメンテーション
4.1 空冷ソリューション
4.1.1 CRAC（コンピュータルームエアコン）ユニット
4.1.2 CRAH（コンピュータルームエアハンドラ）ユニット
4.1.3 自由空冷／フリークーリングシステム
4.2 液冷ソリューション
4.2.1 ダイレクト・トゥ・チップ冷却
4.2.2 ラックレベル液浸冷却
4.2.3 油媒体冷却システム
4.3 ハイブリッドソリューション
4.3.1 空冷＋液冷併用モデル
4.3.2 フリークーリング連携ハイブリッド

  用途別セグメンテーション
5.1 ハイパースケールデータセンター
5.2 コロケーションセンター
5.3 エンタープライズ／オフィス系データセンター
5.4 エッジデータセンター
5.5 特殊環境・軍用／宇宙向け施設

  エンドユーザー別セグメンテーション
6.1 クラウドサービスプロバイダー
6.2 テレコミュニケーション事業者
6.3 金融機関／BFSI
6.4 製造業／エネルギー企業
6.5 公共機関／研究機関

  地域別市場分析
7.1 北米市場
7.1.1 米国：自由空冷導入事例
7.1.2 カナダ：温帯気候での冷却最適化
7.2 欧州市場
7.2.1 英国：脱炭素指令とデータセンター
7.2.2 ドイツ・フランス：産業・研究連携モデル
7.3 アジア太平洋市場
7.3.1 中国：ハイパースケール投資動向
7.3.2 日本：液冷実証プロジェクト
7.3.3 インド：エッジ需要拡大
7.4 中東・アフリカ市場
7.5 ラテンアメリカ市場

  主要企業プロファイル
8.1 Schneider Electric SE
8.1.1 製品ポートフォリオと技術戦略
8.1.2 地域展開と主要プロジェクト事例
8.2 Vertiv Group
8.2.1 CRAC／CRAH製品ラインアップ
8.2.2 新技術開発とM&A動向
8.3 Rittal
8.4 Green Revolution Cooling
8.5 Mitsubishi Electric Corporation
8.6 その他主要プレイヤー

  競争環境と市場シェア分析
9.1 マーケットシェアランキング（技術別／地域別）
9.2 競合ポジショニングマトリクス
9.3 主要戦略（コラボレーション、提携、投資テーマ）
9.4 差別化要因・強み比較

  価格動向とコスト構造
10.1 システム初期導入コスト分析
10.2 運用・メンテナンスコスト動向
10.3 TCO（総所有コスト）比較モデル
10.4 冷却 as a Service 価格モデル

  ケーススタディ
11.1 大規模クラウド施設での自由空冷適用事例
11.2 金融機関向け液冷導入プロジェクト
11.3 エッジデータセンターでのハイブリッド冷却活用

  今後の展望と推奨戦略
12.1 技術ロードマップ予測（2024–2032）
12.2 投資機会とリスク評価
12.3 インフラプロバイダーへの提言
12.4 地域プレイヤーへの提言

  調査手法論・付録
13.1 データ収集プロセス詳細
13.2 市場推計モデル前提条件
13.3 感度分析・シナリオ分析結果
13.4 用語集・略語一覧
13.5 図表リスト
13.6 参考文献

※「データセンター冷却のグローバル市場予測：コンポーネント別（ソリューション、サービス）、タイプ別、封じ込め方式別、構造別、用途別、ソリューション別、サービス別、地域別（2025年～2030年）」調査レポートの詳細紹介ページ

⇒https://www.marketreport.jp/data-center-cooling-market

※その他、Grand View Research社調査・発行の市場調査レポート一覧

⇒https://www.marketreport.jp/grand-view-research-reports-list

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