2025年10月24日
H&Iグローバルリサーチ（株）
*****「カリの世界市場：製品別（硫酸カリウム、硝酸カリウム）（2025～2030）」産業調査レポートを販売開始 *****
H&Iグローバルリサーチ株式会社（本社：東京都中央区）は、この度、Grand View Research社が調査・発行した「カリの世界市場：製品別（硫酸カリウム、硝酸カリウム）（2025～2030）」市場調査レポートの販売を開始しました。カリの世界市場規模、市場動向、市場予測、関連企業情報などが含まれています。
***** 調査レポートの概要 *****
- 世界市場の現状と成長要因
カリ（Potash）は、植物の生育に必要不可欠な三大栄養素（窒素・リン・カリウム）の一つであり、農業肥料の中心的な成分として世界的に利用されている。2024年の世界市場規模は623億7,400万米ドルと推定され、2032年までに**年平均成長率（CAGR）5.3％**で成長が続く見通しである。この持続的成長を支える背景には、人口増加とそれに伴う食料需要の拡大、農業効率化技術の進展、そして土壌肥沃度の維持に対する意識の高まりがある。
特にアジア太平洋地域が市場全体の約38％以上を占め、最も急成長している地域として注目されている。中国とインドの農業拡大政策、食料自給率向上戦略が需要を押し上げている。一方、北米は技術的優位性を活かした高効率施肥が普及しており、農業機械化や精密農業の進展により安定した成長を維持している。
さらに、**硫酸カリウム（SOP）や硝酸カリウム（KNO₃）などの「低塩化タイプ」が果実・野菜・園芸用途で急速に普及。従来主流だった塩化カリウム（KCl）**中心の市場構造が、より多様化・高付加価値化へと変化している。
- 市場構造と主要セグメント
(1) 製品別分析
カリ市場は主に「塩化カリウム（MOP）」「硫酸カリウム（SOP）」「硝酸カリウム（NOP）」の三大製品で構成されている。
- 塩化カリウム（MOP）：最も広く使用されており、2024年時点で**市場シェア53％**を占める。安価で大量供給が可能なため、穀物やトウモロコシ、大豆といった主要作物の基礎肥料として定着している。
- 硫酸カリウム（SOP）：塩分に敏感な作物（果実、タバコ、ジャガイモなど）向けに需要が拡大。水溶性が高く、土壌塩化リスクが低い。環境負荷の少なさからプレミアム肥料として注目。
- 硝酸カリウム（NOP）：灌漑栽培・葉面散布など精密農業に適し、特に温室園芸やハウス栽培で使用が増加。近年、液体肥料化も進んでおり、効率的な施肥が可能となっている。
(2) 最終用途別分析
2024年時点で、**農業用途が市場全体の93.1％**を占める圧倒的主要分野である。
- 農業分野：作物の品質・収量向上に加え、干ばつ・病害耐性強化などの利点により需要が拡大。特にアジア・中南米の穀物生産地域で採用が増加。
- 工業用途：FCC触媒、ガラス製造、薬品、金属処理などで使用されるが、全体の数％にとどまる。
(3) 地域別市場構成
- アジア太平洋（38.4％）：中国・インドが最大市場。人口増加・食料安全保障政策・肥料補助金制度が追い風。
- 北米（27％前後）：カナダ・米国が中心。サスカチュワン州の鉱山群が世界最大の供給源。精密農業・環境対応型施肥技術が普及。
- 欧州：ドイツ・ベラルーシ・ロシアが主要供給国。EUの環境基準強化により、低塩・持続可能型肥料が重視される。
- 中南米・アフリカ：ブラジルを中心に輸入依存が高いが、政府の肥料安定供給政策で需要が拡大中。
- カリの地政学的背景と供給リスク
カリ生産の地理的集中が市場安定性に大きな影響を与えている。主要生産国はカナダ（サスカチュワン州）、ロシア、ベラルーシ、および中国であり、この4カ国で世界の総生産の約70％を占める。
カナダは世界最大の埋蔵量を誇り、安定した輸出国である。一方で、ベラルーシとロシアは制裁や政治的不安定性によって供給網が脆弱化しており、2022年以降の地政学的リスクが価格変動の主要因となっている。特にウクライナ紛争以降、ロシア産カリの輸出制限やベラルーシの経済制裁が続き、供給逼迫と国際価格高騰を引き起こした。
また、物流コストの上昇、船舶保険料の増加、港湾設備の制約などが長期的なリスク要因となっている。各国政府は肥料自給率の向上を狙い、**国内採掘・再資源化プロジェクト（例：中国・インド・ブラジル）**を進めている。
- 農業・環境技術の進化と新たな需要
(1) 精密農業とスマート施肥
AI、IoT、衛星データを活用した「精密農業」が普及し、施肥量の最適化とコスト削減が実現。土壌中のカリ濃度をリアルタイムで測定し、必要量のみを局所的に供給するスマートシステムが導入されている。これにより、過剰施肥による土壌塩害や地下水汚染を防止できる。
(2) サステナブル農業の推進
国際機関（FAO・OECD）は持続可能な肥料利用を提唱しており、化学肥料依存の軽減が求められている。その中で、**環境負荷の低い硫酸カリウム（SOP）**や再生可能原料を使用した「グリーン・ポタッシュ」が注目を集めている。
(3) 新規応用分野
近年、カリは電池材料や触媒、工業薬品などの非農業用途でも関心が高まっている。特にカリウムイオン電池（KIB）向けの研究開発が進行中であり、化学メーカーが新たな市場拡張を模索している。
- 主要企業と競争動向
世界のカリ市場は寡占的であり、上位5社で過半のシェアを占めている。主な企業は以下の通り：
- Nutrien Ltd.（カナダ）：世界最大の生産企業。自社鉱山を持ち、安定供給と物流網で優位。
- Uralkali（ロシア）：大規模露天掘り鉱山を保有。東欧・アジア市場で強み。
- Belaruskali（ベラルーシ）：制裁影響を受けるが、依然として世界3位。
- Mosaic Company（米国）：北米最大の肥料メーカー。カナダ・米国に製造拠点を持つ。
- K+S AG（ドイツ）：欧州市場での高品質製品に特化。低塩製品ラインを拡大中。
これら大手企業は、サプライチェーンの再編・長期契約・輸出ルート多様化を進めるとともに、持続可能な鉱山運営とCO₂削減を進めている。
- 市場課題と今後の展望
(1) 市場課題
- 供給集中リスク：特定地域への依存が高く、地政学的ショックに脆弱。
- 価格変動性：エネルギー価格・物流コスト・制裁政策が連動して市場を左右。
- 環境負荷：過剰施肥による水質汚染、温室効果ガス排出問題への対策が必要。
(2) 成長機会
- アジア・中南米市場の拡大：農業近代化と政府支援策による需要拡大。
- 高付加価値型肥料：SOP・NOPなどの環境配慮型製品へのシフト。
- サステナブル製造：再エネ利用、排水リサイクル、二酸化炭素回収技術の導入。
(3) 2030年以降の展望
世界の食料安全保障と気候変動対応を背景に、カリ市場は「量から質」への転換期を迎えている。特に高効率施肥技術とグリーン肥料の需要が高まり、企業間競争の軸は「環境性能」と「供給安定性」に移行する。
***** 調査レポートの目次(一部抜粋) *****
第1章 調査概要
1.1 調査目的と範囲
1.2 対象市場定義（カリ／ポタッシュの分類と用途範囲）
1.3 調査手法・データ収集プロセス
1.4 分析対象期間・予測手法・モデル前提
1.5 単位・換算・為替レートおよびインフレ調整基準
1.6 主要仮定・制約条件
1.7 レポート構成の説明
第2章 エグゼクティブサマリー
2.1 市場規模概要（2024実績および2032予測値）
2.2 CAGR分析：2025～2032年の成長軌道
2.3 主要ハイライト
・アジア太平洋地域が市場の38.4％を占有
・中国・インドにおける農業需要の高まり
・塩化カリウム（KCl）製品が収益シェア53％
・農業最終用途が市場全体の93.1％を占める
2.4 市場成長要因・阻害要因の要約
2.5 マクロ経済・人口動態・食料需要の関連分析
第3章 市場背景・産業構造分析
3.1 世界農業と肥料供給の関係性
3.2 カリウムの化学的特性と作物生理への寄与
3.3 肥料サプライチェーンと流通構造
3.4 カリ生産・採掘・精製プロセスの概要
3.5 国際貿易と主要輸出入ルート
3.6 政策的背景（食料安全保障・肥料補助制度）
第4章 市場ダイナミクス
4.1 市場ドライバー
– 世界的な食料需要の増大
– 農業効率化と収量増加への要求
– 土壌肥沃度維持への取り組み
4.2 市場の制約要因
– 地政学的リスクと供給集中
– 環境負荷・水質汚染懸念
– 原材料・物流コスト上昇
4.3 市場機会
– 低塩化カリ（SOP／NOP）製品の拡大
– スマート農業技術の普及
– サステナブル肥料の新開発
4.4 リスク要因分析（規制・制裁・気候変動）
第5章 製品別分析（Product Segment）
5.1 塩化カリウム（MOP: Muriate of Potash）
・製造法・供給量・コスト構造
・主要用途と地域別需要動向
・価格推移と競争状況
5.2 硫酸カリウム（SOP: Sulfate of Potash）
・低塩作物向け需要拡大
・水溶性・環境負荷低減の優位性
5.3 硝酸カリウム（NOP: Potassium Nitrate）
・高付加価値用途（灌漑・温室・葉面散布）
・成長率および市場機会分析
5.4 その他製品（複合肥料・液体製剤）
5.5 製品別市場シェアおよび数量・金額予測
第6章 最終用途別分析（End Use）
6.1 農業用途
・作物別需要分析（穀物・果実・園芸）
・施肥方式別分析（基肥・追肥・葉面散布）
・農業機械・精密灌漑との統合トレンド
6.2 工業用途
・FCC触媒・化学薬品・ガラス製造など
・需要量・価格構造・収益性分析
6.3 最終用途別市場構成比・成長見通し
第7章 地域別市場分析（Region）
7.1 地域別市場概観
7.2 北米市場
・米国・カナダの農業構造と施肥需要
・サスカチュワン鉱山の供給力分析
7.3 欧州市場
・ドイツ・ベラルーシ・ロシアの供給体制
・EU環境規制とグリーン肥料政策
7.4 アジア太平洋市場
・中国・インドの需要拡大要因
・人口動態と農地拡大傾向
7.5 中南米市場
・ブラジルの輸入依存と政府支援策
7.6 中東・アフリカ市場
・灌漑農業・乾燥地施肥の需要拡大
7.7 地域別市場シェア・予測比較表
第8章 供給分析・資源分布
8.1 世界のカリ鉱床分布
8.2 主要生産国の埋蔵量と生産能力
– カナダ
– ロシア
– ベラルーシ
– 中国
8.3 採掘技術と環境対応プロセス
8.4 輸出政策と国際供給ネットワーク
8.5 供給リスク・在庫動向・代替供給源分析
第9章 価格動向とコスト分析
9.1 原材料・輸送コストの構成比
9.2 地域別価格レンジと変動要因
9.3 過去10年の国際価格トレンド
9.4 価格弾力性と需要調整メカニズム
9.5 今後の価格見通し（2025～2032年）
第10章 競争環境分析
10.1 市場集中度（CR5・CR10）
10.2 主要企業の概要・事業領域・製品ライン
– Nutrien Ltd.
– Mosaic Company
– Uralkali
– Belaruskali
– K+S AG
10.3 企業別財務分析・地域戦略
10.4 M&A・提携・新鉱山開発事例
10.5 競争ポジショニングマトリクス（製品×地域）
第11章 政策・規制・環境対応
11.1 国際肥料規制の枠組み
11.2 各国の肥料補助金制度と影響
11.3 環境基準（温室効果ガス・水質・土壌汚染）
11.4 サステナビリティ施策（ESG・LCA評価）
11.5 国際取引・制裁措置と供給リスク対応
第12章 技術革新・研究開発動向
12.1 採掘・精製プロセスの効率化技術
12.2 グリーン肥料・低炭素製造プロジェクト
12.3 ドローン散布・AI施肥制御システムとの連携
12.4 再生資源由来カリの研究・実証事例
12.5 今後の技術課題と投資方向性
第13章 市場予測（2025～2032年）
13.1 市場規模予測（数量・金額ベース）
13.2 製品別・用途別成長シナリオ
13.3 地域別需要予測・比較分析
13.4 高成長セグメントの抽出と感度分析
13.5 長期展望：2035年以降の方向性
第14章 リスク評価と戦略提言
14.1 短期・中期リスク（供給制約・価格変動）
14.2 長期リスク（気候変動・環境規制・技術転換）
14.3 市場機会の活用戦略
14.4 地域別投資優先度マトリクス
14.5 戦略提言：企業・投資家・政策立案者向け
第15章 付録
15.1 用語集・略語一覧
15.2 データ出典・参考文献
15.3 統計表・図表リスト
15.4 調査方法詳細
15.5 免責事項
※「カリの世界市場：製品別（硫酸カリウム、硝酸カリウム）（2025～2030）」調査レポートの詳細紹介ページ
⇒https://www.marketreport.jp/potash-market-2
※その他、Grand View Research社調査・発行の市場調査レポート一覧
⇒https://www.marketreport.jp/grand-view-research-reports-list
***** H&Iグローバルリサーチ（株）会社概要 *****
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